トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅付き合いの長い古女房的スピーカー

付き合いの長い古女房的スピーカー



 お昼頃秋田県を出たのですが、夕方5時ごろ福島県に入ったあたりから台風2号の影響でしょうか雨が降ってきました。磐越道に入ってしばらく走ると新潟まで100キロの表示板が見えました。「え〜新潟まで、もうたったの100キロしかないの?」と思っているうちに右手に一際目立つ磐梯山が姿を現しました。

 「これが磐梯山かぁ〜・・・!」。

 「会津磐梯山は〜♪、宝〜の〜山〜よ〜♪」

 と歌われるだけあって、裾野から見上げるその姿は雄大です。

 これからお伺いするSさんのお宅は全くのその麓にあります。

  ナビは便利な物で日本全国どこへでも連れて行ってくれます。

 今日も一発で着きました。

 
 「こんにちわSさんですか?」。

 『そうですSです』。

 『こんな遠くまでわざわざ来て貰って申し訳ないネェ・・・』。

 福島なまりが凄く耳に心地いいんです・・・。

 Sさんは2〜3年前に退職され今は専業農家だそうです。


 初めて来た土地なのに、かつて来た事あるような錯覚を覚えます。

 体が憶えているんですね。

 50年ほど前にさかのぼった様な周りの環境です。

 日本にもまだこんな所が残ってるんだ・・・!。

 子供の頃、親の実家に帰った時の光景が頭によぎります。

 田をすくのに当時はどこの農家にも牛を飼っていました。

 今にも「モ〜〜」という牛の声が聞こえて来そうです。

 丁度今は田植えのシーズンで田んぼには水が一杯はられてあります。

 今になって思うのは、不思議とカエルの声がしていませんでした。

 どうしてなんでしょう?。


 そんなノスタルジックな気持ちを持っての訪問です。するとどうでしょう!。部屋に通されて目に入ったスピーカーはタンノイのバルモラルです。私が商売を始めた当時のスピーカーですから凄く懐かしく感じました。その前のアーデン、バークレーシリーズ程は売れず大変短命なモデルでした。


 ですから実際にお客さん宅で目にしたのは今回が実は初めてだったのです。それが凄いイイ雰囲気で鳴っているんです。使い込まれたスピーカーは何とも味わい深いものがあります。そんな環境の中でお聞かせ頂いた音楽からはオーディオのクリニックなんて口にもする気がなくなってしまいました。

 そうです、本来ステレオの音とはこうあるべきなんですね。細かい事など言わず黙って好きなレコードを楽しむ。久し振りに「物をいつくしむ心が大切なんだ!」と教えられたような気になりました。ローゼンクランツの大仏とロータスを気に入って使って下さっております。


 『アナログの専門誌を見た時に、「目からウロコが落ちるほど素晴らしい」と評論されていたので、いっぺんで買う気になった!』とその時の気持ちを嬉しそうに語ってくれました。その笑顔を見ていると、本当に良い作品が作れたものだと我ながら感心した次第です。

 ディスクインシュレーターのロータスの使い方が充分に理解されていないようでしたので、音楽エネルギーの方向を示すAマークをどの向きに使うと音楽表現がどうなるのかを、実際にゲージを使って説明させて頂きました。


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